
今回は豪華客船で働く上で大切な「ビジネス」の話をしようと思います。
スパで働くと常に「目標の売上を達成すること」が求められます。
では具体的にどのような「ビジネス力」が必要か。
この記事から大まかに「船で働く」イメージを持って頂いて
「豪華客船の仕事面白そうだな〜」とか「自分にはあまり向いてないかもな〜」など色々感じてもらえたらと思います。
では早速いきましょう!
こんな人におすすめの記事!
・豪華客船の仕事内容に興味がある人
・豪華客船で鍼灸師として働きたいと考えている人
・豪華客船の鍼灸師がどうやって集客しているか知りたい人
目次
各クルーズごとに渡されるターゲットとは

まずは船で働くとほぼ毎日耳にするであろう「ターゲット」についてお話ししたいと思います。
ターゲットとは「会社から与えられる売上目標額」です。
エンバケーションの日、スパが営業する前にマネージャーからそのクルーズのターゲットを伝えられます。
エンバケーションの日とは、新たなゲストが乗船する初日です
ターゲットは船の規模、航路、クルーズの期間、職種などによって違います。
たとえばアラスカクルーズはビジネス的に良い期間なので、会社から与えられるターゲットは高めです。
反対にアジアを周っている時のターゲットはアラスカに比べ低いです。
具体的にはアラスカクルーズでは1週間に11000ドルのターゲットであったのに対し、アジアでは8000ドルくらいでした。
また職種でいうと、メディスパ(スパで働いているドクター)、鍼灸師、マッサージセラピストのターゲットは高く、ネイリスト、ヘアドレッサーは低いです。
これはサービスの単価が違うからです。
目標額に達成するとどうなるの?

給料が上乗せされることなどはないですが、達成すると「休み」を多く貰えます(マネージャーによりますが)。
Silvermuseに乗船していた頃、1人目のマネージャーはターゲットを達成すると多めにTime-offをくれました。
しかし2人目のマネージャーは違いました。
ターゲットをヒットしたので意気揚々と「次のクルーズでextraで休みちょーうだい」といくと、
あなた52時間勤務でしょ!
(休みなんて) No Way!!!
ってキレられました…
同じ理由でメディスパも、extraで休みは貰っていませんでした。
しかし他のスパの子は休みを余分に貰うことができるので、ターゲットにヒットしようと頑張っていました。
僕の場合は、そのマネージャーのもとではターゲットにヒットしても「良くやったね〜」と言われるくらいで、特にメリットはありませんでした。
しかし何もご褒美がないからといってターゲットを無視していいかというと違います。
ターゲットをずっと達成できないとまずマネージャーから詰められます、こんな感じで。
おい、どうなってんねんこのクルーズ.
全然売上あがっとらんがな.
これはもう全員「ブレックファーストクラブ」やな.
ブレックファーストクラブとは、「普段は朝7時30分からスタートするミーティングを、7時から行う」という誰が得するのか不明なイベントのことです。
7時からミーティング、7時30分から朝食、8時からスパをオープンさせるスケジュールです。
更にターゲットに届かないクルーズが続くと、会社からの詰めもあります。
更に更に運悪く、ターゲットに届かないクルーズが続くと、電話ミーティングもあったりします。
よって売上目的額達成によるご褒美がないとはいえ、スパで働く以上、ターゲットヒットを狙い続けなければなりません。
最悪の場合、他の船に移動ということもありえます。
まあ個人的には単純にターゲットにヒットすると嬉しいし、(ターゲットヒットということは売上も良いので結果的に)給料も良くなるので、会社のシステムにうまく乗っかり「ターゲットをヒットしてやるぞ!」という気持ちでクルーズごとに楽しんだほうが、契約期間の7ヶ月をやり切れると思います。
ゲームしている感覚で!
では売上を上げるために具体的にどのように集客するのか、「エンバケーションデイ」「セミナー」「クロスプロモーション」に分けて説明していきます。
エンバケーションデイ、それは最も尊い日

新たなゲストが乗船する初日、エンバケーションデイはとても大事な1日です。
この日はゲストが豪華客船という非日常にexciteしている日であり、船内で何があるのか興味津々だからです。
Embarkationとは、「乗船、搭乗」という意味です。
そしてわざわざスパまで足を運びどんなサービスがあるのかチェックするゲストはスパや治療に対する関心度は高いので、鍼をアピールする良いチャンスなんです。
まずエンバケーションデイでは、基本的には「ゲストを迎えるため」にスパの受付の近くにいます。
Silvermuseだと右の矢印あたりに立っていました。

左にメディスパが立って、スパの玄関でお出迎えする感じです。
エンバケーションの日にスパにくるゲストは
・事前にオンラインから予約している人が予約の確認のためにスパにくる
・これから予約をするために受付にくる
・ジムなどの施設を見学するためにくる
など様々です。
ゲストに話しかけるタイミングは色々ありますが、
・予約をするために列で待っている時
・スパの案内をしている時
が多いですね。
こんな感じで👇
{ スパへようこそ! よかったらスパを案内するよ〜
ジムを見にきただけなんじゃが、折角だから頼むよ }
まずはジムを案内する。
説明が終わったら、マッサージや鍼で使うトリートメントルームのエリアを紹介する。
{ 次は色々なトリートメントが受けらるエリアを紹介するね。
ここは僕の部屋で、ここで鍼のトリートメントをしてるよ。
鍼って受けたある?
ないの〜 }
{ 鍼ってね、こういう症状にいいんだよ。
これ見てみて。
と言って、すかさず鍼のパンフレットを渡す👇

ほ〜、これは知らんかった。}
実はな、ずっと腰が痛くてな。
病院にもいったし、カイロとか色々試したんだがいまいち良くならんくてな。
とゲストの悩みを聞くことが出来たら、そのまま話を続けて詳しく症状について問診する。
簡単な検査や料金も説明する。
鍼で効果が見込めそうなら👇
{もし良かったら僕の鍼治療を受けてみない?
より船旅を楽しめるように、お手伝いするよ!
そやな、受けたことないし一回試してみるか。}
お願いするわ!
以上がエンバケーションデイでの集客の一例です。
いろんなパターンがありますが、それは働いているうちに慣れてくるでしょう、英語での伝え方を学びながら。
また鍼灸師や船によっては集客の仕方は変わってくるでしょう。
僕の場合は一人一人割と時間をかけてコンサルしてました、エンバケでも。
ここではエンバケーションでの大雑把なイメージを持っていただけたらと思います。
セミナーを制するものは成功する
続いてはセミナーについてご紹介します。
セミナーはSeabournではストレッチルーム、Silvermuseでは自分の治療部屋で行っていました。
どちらも600人規模の船なのでセミナーもこじんまりとしてました。

Seabournでセミナーを行った場所

Silvermuseではセミナーは治療部屋でする
大きな船だと広いオープンスペースで多くのゲストに向かってマイクを使って行うみたいです、こんな感じのところかな👇

参考記事: 【ロイヤルカリビアンクルーズのブログ】船内を見学してきた!
Silvermuseでは基本毎日セミナーを行い(セミナー頻度はマネージャーによる)、Seadayでは1日2回セミナーを開いていました。
多い時で7,8人くらいで、誰もこないセミナーだってありました。
そりゃゲストだって観光しにきているので、セミナーばかり聞きにこないですよね。
だからセミナーに来てくれたゲストはめっちゃ有難いんです。
セミナーを1時間かけて行う人もいるみたいですが、僕の場合は30分くらいでした。
これもマネージャーや忙しさによって変わるみたいです。
マネージャーと話し予約をより多く入れるため、セミナーの時間を短縮してました。
では具体的にセミナーではどんな内容を話すのか?
- 鍼治療とは
- チャイニーズハーブとは何か
- 関節炎と鍼
- 痛みに鍼はなぜ効くのか
- 鍼とストレスマネイジメント
Silvermuseのセミナーでは、この5つのテーマについて話していました。
たまに「鍼のDemonstration」をして、鍼が怖い人のためにいかに「gentleな治療か」をアピールします。
セミナー攻略はここがポイント
一番上の「鍼の紹介」のセミナーで話すことは、
- 自己紹介
- 鍼の歴史
- どんな疾患に効くか
- どんな鍼を使うか
- 実際どんな風に治療するか
などですが、これは大体の流れが書かれている資料があるのでそれで勉強すればokです。
The English Villageでもセミナーの練習をするので問題ないかと思います。
問題はセミナー中、もしくはセミナー後にゲストからされる質問です。
たとえば…..👇
アメリカで前鍼受けたことあるねんけど、ぜんっぜん効かんかったわ〜。
やっぱ鍼って意味ないん?
とか

鍼がいいのはわかったけど、169ドルは高いわ。
割引どれくらいできる?
それか帰ってから受けるし、どっかいい治療院知らん?
とか

何回で治せる?
いつ効果実感できるん?
んでその効果どんくらい続くん?
など多様な質問がたくさんきます。
こういう場面を想像しながら「自分だったらどう答えるかな」って英語で考えてみてください。
上の定番クエッションならまだいいですが、「鍼ってヴードゥー魔術やんな?」なんて言われたこともありました。
たまーにこういうイレギュラーな質問もくるので、豪華客船鍼灸師はメンタルが強くなるんですね。
毎日英語力を磨きながら、瞑想や運動でもしてメンタルを日々鍛えておきましょう!
クロスプロモーション、それは信頼の証

なんか食べてるw
最後に説明するのは「クロスプロモーション」です。
クロスプロモーションとは、「他のスパスタッフからゲストに鍼を薦めてもらって、鍼治療の予約につなげる」というものです。
マッサージセラピストやフィットネストレーナーからクロスプロモーションを受けることが多いです。
彼女らはゲストの身体の悩みを聞く機会がたくさんあるからです。
このクロスプロモーションをある程度すると、ターゲットヒットの時のようにextraでtime-offが貰えます。(鍼灸師とメディスパ以外だけど)
そしてあまりにもクロスプロモーションが少ないと、またマネージャーから詰められます。
よってみんなクロスプロモーションを無視することはできません。
クロスプロモーションの数を増やすのに、最も効果的な方法

スパメンバー相手に「鍼とは何か」のセミナーを行い、鍼治療への理解を深めクロスプロモーションを多くしてもらうことも大切ですが、
一番効果的なのは「実際にスパの子を治療する」ことです。
スパのスタッフは本当に忙しく、痛みなど身体に問題を抱えている人が多いです。
そういう時は彼女らを治療をして、鍼の効果を実感してもらいます。
鍼治療を経験しているスタッフの鍼の説明は説得力があり、クロスプロモーション成功率も高いんです。
困っているスタッフがいたら積極的に時間を見つけて治療してあげましょう:)
スタッフも体調が良くなり、こちらのビジネスも忙しくなるのでWin-Winの関係を作れます。
❇︎オフィサーなどスパスタッフ以外のスタッフにも治療すると、口コミがゲストに拡がりますよ
こんなところにも集客のチャンスがあるよ

エンバケーションデイ以外にも暇な時はレセプションに立ったり、ジムあたりをうろついたりして積極的にゲストと話すと鍼に興味がある人を見つけることが出来ます。
その他に意外にも集客できた場所として、カフェ☕️が挙げられます。
カフェにいくと、同じように多くのゲストがカフェを利用しています。
コーヒーを待っている間、けっこうゲストと話す時間があるんです。
白衣を着ているのでカフェでは目立ちますので、ゲストから話しかけてくれることもあります。
そこから色々話して治療の予約をするパターンです。
スパ以外の場所でのプロモーションって大事です!
豪華客船ビジネスに向いている人はこんな人だ!

- 社交的である
- セールス経験がある
- ターゲットをヒットしようとするメンタルの強さ
などそれっぽいことも言えますが、正直船で働き始めれば人は環境に適応するので心配無用です。
それより大切なことは、乗船する前から英語などしっかり準備をして、乗ってしまえば体調管理をしつつ毎日もがいてればokです。
豪華客船のビジネスを知って「自分にも出来るかな😑」と不安になった人もいるかもしれません。
大丈夫です、passionがあれば ✌️
少しでもモチベーションupすればと思い、豪華客船の生活をvlogにしました👇
この記事で少しでも「豪華客船のビジネス」についてイメージして頂ければ幸いです。
なにか疑問点があれば、気軽にお問い合わせくださいね。
では!
≫オススメ記事:東洋医学を英語で勉強できる本のレビューはこちら