
【鍼灸師と学生用】長野式が気になるあなたへ
今回の記事は、僕がお世話になっている長野式治療法の中でも入門書としてぴったりな
「よくわかる長野式治療 日本鍼灸のスタンダードをめざして」についてのレビューです。
まずは僕と長野式の出会い&特徴を紹介し、それから本書を考察していきます。
流派について様々な意見があると思いますが、あくまで個人的な意見として記事を楽しんで頂けたらと思います。
コメント、メッセージもお待ちしています。
目次
日本にある様々な流派
日本の鍼灸業界には様々な流派(治療法)があります。
たとえば
・経絡治療
・積聚治療
・北辰会
etc.
これらだけでなく、まだまだ他の流派が日本にはあります。
ちなみに世界で主流なのは、TCM(Traditional Chinese Medicine、伝統中国医学)です。
豪華客船でも何人か鍼灸師に会いましたが、全員中医学の治療法でした。(アメリカ、イタリア、ニュージーランドなど)
長野式治療の特徴
・自然治癒力を妨げる要因を5つに分け、これらを取り除くことによって治癒力をあげる
5つの要因⇨「免疫系」「血管系」「神経・内分泌系」「筋肉系」「気系」
・患者の病気だけをみるのではなく、全身をみる”丸ごと治療”である
・診察から治療がシステム化している
(本書「よくわかる長野式治療」P16より)
長野式と僕

海外で鍼灸師として働きたいと入学前から考えていた僕は、世界で活躍する先生について調べていました。
その中で見つけた先生が、松本岐子先生です。
鍼灸界では誰もが知っている先生の「Kiiko style」はハーバード大学医学部など世界中で教えられる治療法だと知り、当時の僕は衝撃を受けました。
世界トップの教育機関で日本人が東洋医学を教えているなんて、どんな治療なのか興味津々でした。
更にKiiko Style を調べていくと、松本先生は故長野潔氏に師事し、長野式治療法を学んでいたことを知ります。
「ほう、松本先生が勉強した長野式とはどんなものだろう」と僕の関心が次第に長野式に向かうのです。
そんな中僕は、この記事で紹介する「よくわかる長野式治療 日本鍼灸のスタンダードをめざして」と本屋さんで出会い、長野式の勉強を始めるのです。
なぜ長野式を使うのか

長野式に興味を持ったのキッカケは、「海外で有名な先生がやってる治療法だから良さげ」みたいな軽いノリでしたが、
長野式が多くの人に人気があるのは本書にもありますが、治療効果の「再現性」だと感じます。
鍼灸などの治療家の世界では一人前になるには師匠の下で数十年修行しなければならないイメージ(という話を聞く)もありますが、僕は誰かのもとで数十年働き続けるタイプではないことはわかっていたので、ある程度学べば治療効果をあげられる長野式を選んだのです。
(当然ですが、「再現性」があるということは「習得するのが簡単」という意味ではないです。
どの治療法も時間をかけて一生勉強していくものでしょう。
しかしどの治療家も経験がない(浅い)時期はあり、その時期でも治療効果をあげる必要があります。
再現性の高い治療法は、そういう(僕のような)治療家にとって有難いものだと感じます。)
❇︎ちなみに僕は1つの治療法(長野式だけ)を使っているわけではありません。
治療効果を上げられれば何でもいい派です。 後々、他の流派のレビューも書いていきます。
【よくわかる長野式治療 日本鍼灸のスタンダードをめざして】には何が書かれているのか
目次は以下の通りです↓
1章:長野式治療の概要
2章:長野式治療Q&A
3章:症例12の物語
4章:分野別各疾患処置 引き出しとして
1章では長野式治療で使われる具体的な診察、治療法が書かれています。
この章は89ページありますが、フルカラーで写真や絵を頻繁に用いているのでとてもわかりやすいです。
2章では長野式臨床研究会のマスター受講生から挙がった質問約450の内、127の質問に対する回答が紹介されています。
個人的にはこの章が一番面白く、貴重です。
なぜなら実際に臨床で長野式を使われている先生方が治療について感じる疑問は、自ずと自分が感じる疑問(となり得る)だからです。
(マスターコースの受講生の質問なので、若干質問が難しいですが)
各質問に対するアンサーが簡潔で見やすいのですが、欲を言えば集まった全質問を紹介してほしかったです。
(そんなことすれば本のボリュームが大きくなりすぎて入門書ではなくなるのでしょうが、
それくらいこのQ&Aは臨床にとても参考になるものでした。)
3章では実際に治療に当たった12のケーススタディが紹介されています。
挙げられた症例は、以下の通りです。
・心身症
・発作性頭位めまい症
・強迫神経症
・関節リウマチ
・視力障害
・頸部回旋不能
・神経根型頸椎症
・耳閉塞感
・全身倦怠
・変形性膝関節症
・難病後の腰背部痛
・腸骨鼠径神経症
1つ1つのケーススタディには当時の治療の状況がわかるようなストーリーがあり、治療経過とともに治癒していく様子は実際に自分が本書で挙げられるような患者さんが来た際に、とても役に立つと感じます。
臨場感のあるこの章は、あっという間に読んでしまいますよ。
4章では11の分野の各疾患に対する治療法が書かれています。
11の分野の以下の通りです。
・運動器/リウマチ科
・神経内科
・心療内科
・循環器科
・呼吸器科
・消化器科
・代謝、内分泌科
・泌尿器科
・婦人科
・耳鼻咽頭科
・皮膚科
臨床のポイントや処置方法がわかりやすくまとまっているので、臨床経験の浅い鍼灸師にとって便利な章だと思います。
1章を何度も繰り返し理解し、4章をゲストの主訴があればその都度確認していました。
【よくわかる長野式治療 日本鍼灸のスタンダードをめざして】はこんな人におすすめ

長野式治療法の入門書を探していた僕にとって、ぴったりの本でした。
初めから丁寧に長野式の概要や具体的な治療法をフルカラー&写真付きで解説されており、最後まで飽きずに学習できる構成です。
以下のような方にはおすすめできる本だと思います↓
・長野式に興味があり、入門書を探している
・「即効性」「再現性」「多様性」の治療に魅力を感じる
・流派がありすぎてどれがいいか迷っていて、東洋医学と西洋医学がうまく融合している治療法を探している
長野式臨床研究会ではセミナーが開催されていますが、まずは長野式の入門書である本書を一読して更に深く学びたいと思ったらセミナーに参加することをおすすめします。
(実際に僕も本→セミナーの流れで勉強しました)
長野式治療法や本書に興味がある方の参考になればと思い、こちらの記事を書きました。
何か疑問点があればお気軽にメッセージ、コメントを下さい。
では!