【鍼灸本】東大病院リハビリ科の鍼灸博士が教える 最強のボディメンテナンス

 

 

【東大病院リハビリ科の鍼灸博士が教える 最強のボディメンテナンス

体をゆるめてOFFモードにするセルフ灸&指圧】

 

著者である粕谷大智先生はNHK「ためしてガッテン」にも出演されるような有名な先生で、以前から存じ上げてました。

30年以上東京大学医学部付属病院で勤務されている先生が新たに出版された本には何が書かれているのか、ワクワクしながらkindleで即ポチりました。

 

結論:

現代人が抱える身体の不調はなぜ起こり、具体的にどう対処すれば良いのか分かりやすく書かれています。

医療従事者だけでなく、自分の身体について知識をつけたい人にはとても良い本です。

 

【東大病院リハビリ科の鍼灸博士が教える 最強のボディメンテナンス】には何が書かれているか

目次

第1章 東京大学医学部附属病院鍼灸部門のリハビリテーション

第2章 現代人が陥りやすい慢性的な不調~その原因は脳の機能障害

第3章 身体をニュートラルにする~体内に備わる免疫作用&恒常性機能

第4章 8つの神経伝達物質を味方にする 体内のスイッチを切り替える

第5章 自分でできる予防的リハビリテーション

第6章 症状・シーン別セルフケア ツボ指圧・お灸改善ガイド

 

1章では、東大病院では実際どんなことが行われているか、どんな症状をもった患者さんが来院されるか、また東大病院リハビリテーション部の役割について述べられています。

リハビリテーション部には、理学療法、作業療法、精神科作業療法、物理療法、精神科デイケア、言語聴覚療法と6部門あります。

これらの部門がチームとなり、症状に合わせて多角的な治療を行うようです。

さすが大学病院です。

また東洋医学の考えの1つである「陰陽論」やお灸の効果機序などについても書かれています。

東洋医学を説明しようとすると少し小難しくなりがちですが、本書では具体例を使いながら説明されているので理解しやすいです。

 

2章では現代人が抱える慢性疾患である肩こり、頭痛、腰痛がなぜ起こるのか、またこれらの痛みと密接な関係があるストレスについて言及されています。

所々に図などが使われていて、分かりやすいです。

面白いのは「恐怖回避思考が生む 不調・痛みの負のループ」のところです。

ギックリ腰を例に、脳と痛みの関係を説明しています。

ぎっくり腰のように一度強い痛みを感じると、脳は悲観的な解釈をするようになる。

恐怖回避思考が定番化すると、ネガティブ思考がもとでうつ傾向に陥る。

痛みに伴う不活動は、軽微な全身的慢性炎症を誘発し、さまざまな慢性疾患、不健康へと誘い込むのだ。

東大病院リハビリ科の鍼灸博士が教える 最強のボディメンテナンス より抜粋

身体と脳が痛みを覚えている状態で患者さんに、検査結果から安易に「筋緊張がひどいですね」などと説明してしまうと、その説明がネガティブな情報となり、恐怖回避思考・行動の負のループ、つまり身体を積極的に動かさずに、その結果痛み以外に不調を感じてしまう悪いサイクルができてしまいます。

これは、治療家側が気をつけないといけない点です。

しかし正直に身体の状態を伝えることで患者さんの健康意識が高まり良いサイクルを生むケースもあるので、その人にあった言葉選びをする必要があると感じます。

 

3章では、なぜ人は痛みを感じるか、痛みの種類、慢性疾患に対してどのように鍼灸が効くのかゲートコントロール説などいくつかの理論が解説されています。

これらの理論はどれも分かりやすく解説されているので、鍼灸師が患者さんに説明する際にも参考になると思います。

 

4章は、8つの神経伝達物質をうまくコントロールし、生活の質を高めようというものです。

8つの神経伝達物質は以下の通りです。

1.幸せホルモン「セロトニン」

2.安らぎホルモン「オキシトシン」

3.怒りのホルモン「ノルアドレナリン」

4.やる気ホルモン「ドーパミン」

5.戦闘ホルモン「アドレナリン」

6.ひらめきホルモン「アセチルコリン」

7.恍惚ホルモン「エンドルフィン」

8.若返りホルモン「マイオカイン」

これらのホルモンをコントロールするための食事法や運動法が具体的に記載されています。

どれもすぐに簡単に実践できる方法ばかりです。

 

5章では、自分でできるセルフケアとしてお灸の活用がおすすめされています。

お灸には、温熱効果による血行を促進や免疫力を上げる効果があります。

最近では気軽に自宅で使えるお灸も販売されていますね。

 

6章では、症状別にどのツボを使ってお灸や指圧をすればよいか書かれています。

14の症状は以下の通りです。

1.片頭痛

2.緊張性頭痛

3.「寝つきが悪い」睡眠障害

4.「夜中に目が覚める」睡眠障害

5.「スッキリ起きられない」睡眠障害

6.単純性下痢

7.便秘がち&お腹が張る

8.更年期障害(息切れ&体がふらつく)

9.腰痛

10.ひざ痛

11.肩こり

12.寒がり・足がむくむ

13.足が疲れやすい

14.精神不安「落ち込みやすい」

15.咳が止まらない

16.風邪っぽい

17.胃痛

18.老いを感じる

19.目が疲れる&目が乾く

20.胸がムカムカする

 

以上の症状があれば、ぜひ紹介されているツボを自分でゆっくり押したり、お灸をしてみましょう。

 

【東大病院リハビリ科の鍼灸博士が教える 最強のボディメンテナンス】はこんな人におすすめ

エビデンスが集まりやすい病院に勤務している鍼灸師の先生が書かれた本なので、なぜ鍼が様々な疾患に効果があるのか現代医学的に丁寧に説明されています。

どうしても多少専門用語を使う所もありましたが、全体的に医療従事者でなくても一般の方でも理解できる内容です。

そして本書にあるような具体例を使った分かりやすい説明方法は、鍼灸師など医療従事者が患者さんと話す際にとても参考になると感じました。

この噛み砕いた説明は豪華客船でゲストと話すセミナーやコンサルの時に使えますよ。

タイトルにある通り、なぜ痛みが身体に生じるか、そして身体の仕組みを理解した上でどのような行動をすればよいか具体的に提示されている本書はまさに「最強のボディメンテナンス 」だと思います。

では!

 

ABOUTこの記事をかいた人

豪華客船で鍼灸師として勤務しながら世界中を旅しました。 身体に良いと言われるものを自分で試し、感じたことを記事にしています。 また医療英語やヨガ、豪華客船の生活、旅についても書いています。 有益な情報をシェアできるよう努めます。 気軽にコメント、メールをください。 Twitterのフォローもお願いします :) @akiacu